横浜市役所が「関内」から「桜木町」に移転してから2年半の月日が流れました。そしてこの2年半、私たちは市民の命や暮らしを脅かし続けるコロナ禍とずっと闘い続けてきました。
本来であれば、新しい市庁舎の低層部は、すべての市民に開かれた公共空間として、多彩なイベントが開催され、多様な市民の交流と対話の場となる筈でした。ところがこの長期に亘るコロナ禍によって、開催される予定で あったイベントが中止になったり、開催されても様々な制約を受けるなど、新市庁舎はシティホールとして、その目的やポテンシャルを充分に発揮できないまま現在に至っています。
一方で、横浜市では、昨年、戦後一貫して増加し続けた市域の人口が減少に転じ、本格的な人口減少社会を迎えようとしています。また市域郊外部では高齢化率が50%に達しようとする住宅団地が増え始め、市域全体で約28万5千名の高齢者がお一人暮らしをされるなど少子高齢化や世帯の単身化が、予測を超えるスピードで進んでいます。
20世紀後半の横浜市は、生産年齢人口の増加と、その結果、自治体として得られる豊富な税収増を前提として、市民の生活ニーズを満たすために、上下水道や学校、生活道路、公園や市民利用施設などの生活インフラを行政主導で整備することが、市政の重要なテーマでした。
ところが、市内でのこのような人口減少や超少子高齢化、世帯の単身化が急速に進むと共に、気候変動による災害の甚大化が顕著となり、大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とした社会経済のあり方を、地球規模で転換することが求められるようになっています。すなわち横浜市として20世紀後半とは、抜本的に異なる行政運営や都市経営の在り方を探究することが必須となっているのです。
その探究の過程の中で浮かび上がってきたキーワードが「協働・共創」です。
昨年から今年にかけて、横浜市では「財政ビジョン」や「行政運営の基本方針」、「新たな中期計画」など、これからの自治体経営の在り方を展望する新しいビジョンの策定が進む中で、公的サービスを多様な公民の主体が協働して担うこと、また複雑化する社会課題の新たな解決手法を公民連携に よって創発する「共創」の重要性が明らかになってきています。
横浜市として初めての試みとなる「よこはま共創博覧会2022」は、長期に亘るコロナ禍を、一人ひとりの市民の皆様と共に手を携えることで乗り越え、超少子高齢化や気候変動などによってもたらされる社会問題に協働・共創の力によって立ち向かい、持続可能な横浜の未来を切り拓くために開催します。
そのため、10月21日~28日までの8日間、アトリウムを中心とした市庁舎低層部を、多様な市民の探求と対話の場として解き放ち、子どもから高齢者まで、あらゆる世代の市民が主役となった、フォーラムやワークショップ、マルシェや映画上映など多彩なプログラムを朝から晩まで繰り広げます。そしてその模様をオンラインを通じ、全国にライブ配信します。
この取組には、市庁舎を、あらゆる市民に開かれた賑わいと交流の空間として、コロナ禍によって損なわれ続けた本来の意味での「シティホール」として、取り戻していくという強い決意も込められています。
もともと横浜は開港以来、「価値観は人それぞれ、人生は十人十色」ということを市民がお互いに認め合いながら、発展してきた都市です。だから女性も男性も、お年寄りも子ども・若者も、一度失敗を経験した方も、障害や難病のある方も、誰もが自由に呼吸し、生き生きと活躍できるチャンスがある。そういう都市です。そして、これからも横浜が、そのような都市であり続けるために、私たちは「よこはま共創博覧会2022」を開催します。
よこはま共創博覧会2022の目的
「よこはま共創博覧会2022」は以下を目的として開催します。
- 財政ビジョンや行政運営の基本指針(素案)、新たな中期計画(素案)など本市の都市経営の新しいビジョンについて「共創」という観点から発信する。
- 新たな「共創推進指針」の策定に向けて、多様な民間との対話の場とする。
- 「横浜ウエルビーイング指標」(仮称)や「サーキュラーエコノミーplus」のビジョンとリビングラボを通じた具体的な取組についての紹介の場とする。
- 企業版ふるさと納税獲得のためのPRの場とする。
- 市庁舎低層部及び臨海都心部の賑わい創出に寄与する。
- 市庁舎低層部活用のための共創のプラットフォーム(エコシステム)形成のための契機とする。
開催概要
- 日程:令和4年10月21日(金曜日)~10月28日(金曜日)
- 場所:横浜市庁舎1階アトリウム、協働スペースA・B
- お申込み:下記の「本の帯作成ワークショップ」プログラムを除き、事前のお申込みは不要です。
【10月26日(水)10:00~12:30】
情報編集を使った読書術体験「本の帯作成ワークショップ」あなたの創った本の帯が巻かれた本が書店に並びます!(本の購入費が必要です)
※お申込みフォームは横浜市のページに掲載
主催/共催/運営パートナー
・主催:横浜市
・共催:一般社団法人横浜青年会議所(10月23日のみ)
・運営パートナー:一般社団法人YOKOHAMA リビングラボサポートオフィス、特定非営利活動法人 横浜コミュニティデザイン・ラボ、ハーチ株式会社
開催プログラム(予定)
※プログラム名の一部は現時点での仮称です。
10月21日(金)これからの共創のあり方を考える。
共創博覧会の初日のテーマは、横浜市が直面する現状と課題を踏まえ、「これからの公民連携のあり方を考える」です。
この日は、横浜市の「財政ビジョン」や「行政運営の基本方針」で示した「公民連携」の新しい考え方に基づいて、官民の多様な主体が対話を繰り広げることで、8日間に及ぶこの博覧会のテーマを浮き彫りにします。
コロナ禍を通じて大きく変わった市民の生活意識やライフスタイルを念頭において、これまでの横浜の「スマートシティ」や「観光MICE」、「団地再生」などの政策のあり方を見つめ直し、市民や企業が徹底的にこれらの政策や事業に参画し、行政と協働・共創することで創出される価値について、探求します。
11:00〜11:45 オープニングセッション「財政ビジョン、行政運営の基本方針にみる協働・共創」
11:50〜12:50 「市民協働・共創フォーラム~これからの協働×共創~」
13:00〜14:00 「公民連携で取り組む持続可能な横浜の都市ビジョン」
14:15〜15:30 「対話と探究の場としての博物館と街のあり方を考える~シルクを糸口にして
15:45〜16:15 「郊外住宅団地の持続可能な街づくりを考える~共創事例紹介」
16:30〜17:30 「郊外住宅団地の持続可能な街づくりを考える ~竹山団地を中心に」
17:45~19:15 「STAY WITH YOUR community~ウイズ・コロナ時代のウエルビーイングを考える」
10月22日(土) 横浜の未来を担う子ども・若者との共創
共創博覧会の二日目は、横浜の未来を担う子ども・若者との共創がテーマとなります。このコロナ禍によって、学校や地域での社会・職業体験や仲間との交流を通じた学びの機会を大きく損なわれた横浜の子どもたち。しかしその中でも、「はまっこ未来カンパニー」などの横浜ならではのキャリア教育の取組を通じて、地域の大人たちや企業などと連携し、持続可能なまちづくりや商品開発に取り組む子ども・若者が育ってきています。この日は、横浜の未来を担うそんな子どもや若者たちが中心となり、大人たちとの協働・共創によって、紡ぎ出す横浜の未来について語り合い、発信します。
10:00~10:40 トークセッション
「金沢文庫芸術祭」から見えてきた子ども・若者による共創
10:45~11:15 基調講演
「豊かな体験プログラムから見えてきたハマの子どもたちによる共創」
11:15~11:50 取り組み紹介
12:00〜12:45 基調講演
「課題いっぱいの社会に積極的に関わる子ども・若者は成長する!-そのポイント」
12:55〜17:00 取り組み紹介
12:55~13:30 セヤミツラボ・瀬谷西高校、上瀬谷小
13:35~14:00 豊な体験プログラムに取り組む子どもたちからの発表
14:05~14:45 上大岡リビングラボと桜岡小
14:50~15:30 藤棚リビングラボ・西前小取組紹介
15:35~16:15 鶴見SDGsリビングラボと鶴見小取組紹介
16:20~17:00 クロージングセッション~子どもたちの未来にかかわる団体から
17:30~19:00 映画「マイクロプラスチック・ストーリー~ぼくらが作る2050年」上映
10月23日(日)若手経済人との共創による持続可能な横浜の実現
共催:横浜青年会議所
共創博覧会三日目のテーマは、横浜をとことん愛する若手経済人との共創による持続可能な横浜の実現です。横浜青年会議所が市庁舎アトリウムで展開するサーキュラーエコノミ―体験フェスとコラボすることで、社会課題をビジネスによって解決し、持続可能な横浜を創ることの意味を、子どもから大人まで楽しみながら考える機会を創出します。なお、夜のアトリウムでは、大阪市大や関西の自治体とコラボした「探究型自治体職員のあり方を考える~横浜&大阪フォーラム」も開催します。
10:30~17:00 サーキュラーエコノミー 体験フェス
・身近な地域循環をテーマとしたワークショップ等
・ペットボトルキャップのアップサイクル
・アップサイクルアート
・はち育ワークショップ
・フォーラム「アートで価値をPLUS」
18:00~20:00 探究型自治体職員のあり方を考える~横浜&大阪フォーラム
10月24日(月)脱炭素社会を実現する横浜版地域循循環型経済
共創博覧会四日目のテーマは、脱炭素社会を実現する「横浜版地域循環型経済」。横浜版地域循環型経済(サーキュラーエコノミーplus)は、SDGsの17の目標すべてを地域経済の中でバランス良く達成するために、横浜型リビングラボを運営する民間団体が集まり対話と探究を重ねることで生み出された社会ビジョンです。この日のプログラムでは「脱炭素社会を実現する」という観点から再生可能なエネルギーや有機たい肥を活用した食の地産地消、空き家や休耕地の有効活用など実践報告を交えて、公民連携によって横浜版地域循環型経済をいかに進めていくのかというテーマで対話を進めます。
10:00~12:30 フューチャーセッションⅠ
「お日さまおすそ分けスポットを中心とした防災・減災」
12:45~15:15 フューチャーセッションⅡ
「地域のモノは、地域に還せ~食と農の地産地消を考える」
・「休耕地をオリーブ畑に変える~里山オリーブの挑戦」
・「フードループ、フラワーループでつくる横浜版地域循環型経済」
16:00~18:00 地域循環共生圏に関するセッション
10月25日(火)多様なケアを支える横浜版地域循環型経済
共創博覧会五日目のテーマは、多様なケアを支える「横浜版地域循環型経済」です。21世紀は共働き世帯の増加や長寿命化によって女性世帯主が中心となる社会。女性が生き生きと活躍することができる社会経済が強く求められる時代であると言えます。一方でヤングケアラーの存在や単身高齢者の孤独死の問題に象徴されるように20世紀後半の家族に介護に頼りがたちだったこの国のケアのあり方を抜本的に見直すことに迫られています。この日のプログラムでは、生活支援サービス(ケア)産業を活性化することで、誰もが生き生きと活躍しながら、安心して、安全に暮らすことができる地域社会を目指し、医療福祉の専門家や美容や理容産業の担い手のみならず、病気や障害など困難に直面する当事者も交えて、探求と対話のセッションを展開します。
10:00~10:50 オープニングセッション~おひとりさまと女性が中心となる時代のケアを考える
11:00~11:50 セッション1 女性が主役!持続可能な美容産業の未来を考える
12:15~13:00 ケア関係リビングラボの取組紹介
13:00~14:20 セッション2 障害と病気に直面する当事者が構想する「誰一人取り残さないケア社会」
14:30~14:55 ヤングケアラー支援を考える
15:00~15:30 共創事例紹介
15:30~16:15 おひとりさま社会の今とこれからを考える
16:15~16:50 総括討論「多様なケアと新しいセーフティネット」
17:00〜19:00 介護ハッカソンとケアテックオープンラボ~多様なケアを支えるデータとデジテク共創事例紹介
(1)共創事例紹介
(2)ケア・テックオープンラボからの報告
(3)介護デジタルハッカソン~アイデアソン報告会
19:00~20:00 上映会:対話のメディアとしての「ショートフィルム」の可能性を探る
10月26日(水)誰一人取り残さない社会を実現する対話と探究の手法を体験する
共創博覧会六日目のテーマは、市民一人ひとりのウェルビーイングを実現する対話の手法を体験する。「対話」と一口に言っても、それによって、つながる人たちの属性や解決すべき課題の性格などによって、その手法は千差万別です。この日のプログラムでは、読書やショートフィルムなどを通じた対話、オープンダイアログやカード通じたワークショップなど様々な対話の手法を体験することで、市民一人ひとりのウェルビーイングを実現していくために、多様な他者とコミュニケーションを図りながら、協働・共創していくことの価値について探求します。
10:00〜12:00 「対話型読書に関するワークショップ」(本の購入費が必要・事前申込制)
13:00〜14:45 「傾聴と対話のワークショップ」
15:00〜16:45 「ウェルビーイングを身近に感じるためのワークショップ
17:00~18:30 セッション「本との出会いを考えるワークショップ」
10月27日(木)協業によって新たな価値を創発する~これからのオープンイノベーション
共創博覧会七日目のテーマは「協業によって新たな価値を創発する~これからのオープンイノベーション」です。
この日の午前中のプログラムでは、横浜市が所有する公有地の価値を民間企業との協業によって高めることの意義やその手法について市職員と企業・事業者との間で、対話をします。また午後のプログラムでは、横浜市が市内民間企業と共に進めてきたオープンイノベーションの課題について、振り返り、これからの横浜のオープンイノベーションのあり方について対話重ねます。
その後、横浜のみならず、他の大都市自治体とも連携して、横浜のオープンイノベーションの取組をいかに世界とつなげていくかについても探求します。
9:30~12:00 保有資産(未利用地等)の利活用を題材とした庁内ワーキング「ヨコハマは宝の山」
・共創事例紹介「自転車駐車場低利用地の貸付による財源創出」
・庁内ラボの成果に基づく問題提起
・企業によるパネルデスカッション
・参加者全員によるフューチャーセッション
13:00〜15:15 「イノベーション都市・横浜」の取り組みの現在と今後
15:30〜17:00 「企業との連携による大都市のオープンイノベーションを展望する」
10月28日(金)金融とDXが支えるオープンイノベーション
共創博覧会の最終日のテーマは「金融とDXが支える横浜の共創プラットフォーム」。
午前中は、個人事業主やフリーランス、社会起業家が共創する協同労働という新しい働き方が横浜版地域循環型経済の推進に、いかに寄与するのかを話し合うと共に、それを支える地域金融のあり方についても対話を重ねます。
午後は「企業版ふるさと納税」や「DX」を具体的なトピックスとして取りあげることで、民・産・政・学・官で形成する横浜の共創プラットフォームのあり方について探求します。
10:00~13:00 地域金融と地域生業企業が創る新しい共創の形
10:00~10:50 協同労働の今とこれから
~協同労働協会 「OICHI」と起業支援センター「まちなかbiz」の取組から
11:00~11:50 協同労働を支える地域金融
12:00~12:50 「OICHI」&「まちbiz」の会員からのプレゼンテーション13:15~14:00 共創事例紹介Ⅱ
「企業版ふるさと納税を活用した水災害体験装置設置」
「VRによる消防教育訓練シミュレーションシステムの研究開発」
「ちむどんどん横浜鶴見プロジェクト」
14:00~15:00 企業版ふるさと納税と逆プロポを考える
15:00〜17:30 誰一人取り残さないDXと地域循環型経済 ~専門家と地方議員の視点から
【詳細・お申込み】横浜市「よこはま共創博覧会2022」
上記プログラムの他、夕方マルシェ、まちBizマルシェ、横浜市の「サーキュラーエコノミーplus」を推進する公民連携の取り組みや、サステナブルなプロダクツを紹介するブース展示のほか、運営パートナー団体によるトークセッションや、インターネットによる番組プログラムの配信など、8日間にさまざまな取り組みを実施します。
「よこはま共創博覧会2022」詳細
- 21日(金) これからの共創のあり方を考える
- 22日(土) 横浜の未来を担う子ども・若者との共創
- 23日(日) 若手経済人との共創による持続可能な横浜の実現
- 24日(月) 脱炭素社会を実現する横浜版地域循循環型経済
- 25日(火) 多様なケアを支える横浜版地域循環型経済
- 26日(水) 誰一人取り残さない社会を実現する対話と探究の手法を体験する
- 27日(木) 協業によって新たな価値を創発する~これからのオープンイノベーション
- 28日(金) 金融とDXが支えるオープンイノベーション
◎ブース展示:21日(金)〜28日(金)
・リビングラボを通じた循環型経済(サーキュラーエコノミー)を推進するための協定
・サステナブルプロダクト展
【横浜市記者発表資料】「よこはま共創博覧会2022」を開催します!(2022年9月29日)